X File(pdf)
カミツキガメのように獰猛な日差しで威嚇していた11月があっさりと冬に顔を変えた。
昨日は三社目の面接を受けたのである。
前の日にコンサート設営のアルバイトをぶち込まれて、当日起きたのは12時前。
訳あって履歴書を書き直さなければならなかったのだが、そう言われてからしんどいから明日しようぜの繰り返しで何にもしていない。
さすがは新鋭無頼派のokamoto。
太宰に脇腹をどつかれる具合に怠惰である。
15時から面接。
一旦、現実逃避で寝るフリをした。
しかしそうは言っていられない。
チュン・リーのようになめらかな動きでベットを離れパジャマのまま履歴書を書く。
綺麗汚いは関係ねぇと、ほとんど殴り書きのように履歴書を書く。
中学生が初めてギターで作ったスリーコードの曲、もしくは「俺は園子温だ!」並みの初期衝動が文字に現れる。
- 出版社/メーカー: ビデオメーカー
- 発売日: 2002/03/22
- メディア: DVD
- クリック: 29回
- この商品を含むブログ (5件) を見る
順調に書き連ねていくが、序盤でミスる。
自慢ではないが、下書きなしで履歴書一枚書くのに一度で7枚くらい間違えるのだ。
地球温暖化を止めるには、私の就職活動をまず止めるのが最善だろう。
そんなこんなで2枚目を出し、また書き殴る。
皮肉にも丁寧に書いた時とあまり汚さが変わらない事実に気がつくも、30分ほどで書き上げ、スーツに着替えてそのまま電車に乗った。
電車の中で、志望動機を覚える。
完全に遅すぎるかもしれないが、私は本当に怠惰なのである。
乗り換え駅までひたすら暗誦し、どの角度から責められても無敵になった。
頭を振ると全て溢れそうなので、頭にペットボトルを乗せて歩いているみたいにゆっくり歩いて最寄駅まで。
待ち合わせ場所に着く。
就職活動支援の担当の女性(高校生の息子有)が現れるが、
もう半年以上担当してもらっているので、なんとなく仲良くなり面接前に談笑しているとこれ少し押せば付き合えそうじゃない?と勘違いするくらいの変なムードになり、世界が歪む。
面接がはじまりまた世界が歪む。
あれだけ覚えた志望動機が飛ぶ。
難波あたりで落としてきたに違いない。
自分の発する言葉の一音一音が頭の中で異国語として響く。
何を言ってるのか全くわからなくなる。
宇宙空間にフワフワと浮いている脳。
ナスカの地上絵が俯瞰で見れる。
かつみさゆりのボヨヨンラーメン。
神剣ドラゴンクエスト。
牙一族。
走馬灯が終わった頃には、私はブックオフでハードボイルド小説と検索してヒットした本をレジに持っていっていた。
- 作者: 北方謙三
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2004/08
- メディア: 文庫
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (3件) を見る
あの日の事はよく覚えてない。
しかし面接が終わりドアを閉める瞬間、面接官がクレイ型に変わった気がするんだ。