たのしい就職活動4日目
たのしい就職活動の幕が開けて4日目。
派遣バイトで使っていた時ぶりにスーツへ袖を通した。
シャツを着て、ネクタイを結ぶ。
ネクタイは苦手だけど、我慢である。
キツく締めすぎて呼吸困難寸前のまま、ジャケットに腕を入れる。
そして前のボタンを留める。留める。
留ま
らない。
前のボタンが留まらない。
太っている。
嗚呼、我が古城もこれまでかと諦めかけた。
しかしジャケットはこれしかなく、新聞紙をくくる要領で無理やりボタンで自分を縛る。
お兄ちゃん、新聞紙は木曜日だよ。と怒られるように電車に乗り込んだ。
今日は本町の就職支援の会社にいった。
案内された所で待機されている同志たちは、ピシッとしたスーツ、黒々しいリクルート鞄を皆下げている。
恥ずかしくなりできるだけ、胃腸が出たデザインを見せないように、無地のトートバッグをフリして過ごした。
本当に自分の胃腸が出ているような気分になり、やがて案内され二階に上がる時もできるだけその胃腸を隠して移動した。
知らないと思うが胃腸が出ていると、恥ずかしさとごめんなさいという気持ちが入り混じるのだ。
なんで胃腸なんか出てやがるんだとデザインにムカついていると、履歴書・職務経歴書の提出を求められる。
そこからは1時間ほど、支援サービスについての説明である。
よくわからないが、
俺に任せろ、やる気があるやつだけついてこい。
という強豪校から転入してきた野球部の監督のようなことを、担当の女の人が繰り返していた。
ずっと担当の人の話を聞いていると、焦点が合いすぎて、担当の周りに点線が出来、ファッション雑誌の安いデザインみたくなり酔ってしまったので、途中から目が疲れるたび斜め上のエアコンの周辺を見ていた。
周辺がなんか白くてモサモサしてたから、これアスベストじゃないのか?こわっ。いやでもちょっと硬そうだな。とか考えていたら話が終わっていた。
担当の人が就活をダイエットで例える話をしていた時に、お二方は痩せていらっしゃるから〜と僕以外の2人を指差していたときに、あぁマジで本当に太ってきているんだな。と感じたのであった。
帰り、フレークレコーズに寄るとついストロークスのアナログ盤とキャンサーズのカセットを買ってしまった。無職のくせに生意気である。
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たのしい就職活動はまだ始まったばかりである。